移住者、漁業者、先駆者。牡蠣の伝道師が暮らす漁村。

移住者、漁業者、先駆者。牡蠣の伝道師が暮らす漁村。

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移住者であり、漁業者であり、先駆者。牡蠣の伝道師が暮らす漁港へ。

三重県鳥羽市浦村町。リアス式海岸の複雑に入り組んだ入り江のひとつ、生浦湾(おおのうらわん)に面する浦村町は、知多半島と志摩半島に囲まれた伊勢湾の最奥部に位置する漁村です。木曽山系の山々から伊勢湾へ注いだ栄養分が集まる生浦湾は、古くから牡蠣の養殖に適した漁場として栄えてきました。

浦村牡蠣。
今や三重県を代表するブランド牡蠣のひとつが、この漁村にはあります。
川から流れ込む真水と、伊勢湾を半周する海流が混ざり合う汽水域の湾で育つ牡蠣は、牡蠣独特の臭みが少なく、それでいて濃厚な旨みが残る絶品の牡蠣。波穏やかな海面に並ぶたくさんの牡蠣の養殖筏の風景は、浦村の漁村と暮らしの風景となっています。

浦村町で牡蠣の養殖を営む浅尾大輔さんは、大阪出身。結婚を機に浦村町に移り住みました。もともと漁業に関心があったわけではなく、最初は工場勤めをするかたわら、奥様の実家の家業だった養殖業の手伝いをする週末漁業者だったそうです。徐々に自然や季節を感じながら暮らす営みに魅せられ、本格的に漁業に取り組みだして8年目の冬を迎えています。

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大阪から移住したよそもので、漁業未経験。だからこそ、浅尾さんは自分なりの角度から牡蠣養殖の仕事をとらえています。海の仕事はわからない。それなら広い海の上に浮かぶ筏を畑としてとらえ、農業として理解すればいい。浦村町の牡蠣の筏は横3メートル、縦15メートルの長方形の筏。この筏に7メートルの養殖用ロープが等間隔につるされています。海の中に伸びたロープを木に例え、海と空をひっくり返して想像すると…。

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海上の45㎡の畑に、7メートルの木がたくさん植えられていて、そこに等間隔に実がなる。農業に置き換えて考えると、とんでもなく生産効率のいい畑がそこにある。しかも、肥料や水やりの作業はすべて海がしてくれる。種を植え、成長を待って出荷するのが、僕たちの仕事。

浦村牡蠣は栄養分豊かな海で育つ一年育成の牡蠣。ホタテの殻を利用した牡蠣床の小さな稚貝は、一年で立派な牡蠣に育ちます。7mのロープに牡蠣床をつるす間隔で、一本のロープから収穫できる牡蠣の数が決まる。筏につるすロープの本数で、一年間の収穫量が決まります。
収穫量で一年間の売り上げが予想でき、売り上げに対してコストをきっちり計算すればビジネスとして必ず成り立つ。経費から逆算して、作業や設備の投資をする。浅尾さんの漁業に対する考え方は、ビジネスそのもの。だからこそ、過剰な生産もしません。

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牡蠣床の数を増やせば収穫できる牡蠣は増えます。でも、密集した状態ではひとつひとつの牡蠣に十分な栄養がいきわたらない。そうなると旨い牡蠣ができなくなる。短期的に見れば儲かるかもしれないですが、長期的に考えればそれは顧客離れやブランドの低下を招くんです。だからこそ、ほどほどの利益を確保しながら、できる限り旨い牡蠣を作る努力をするんです。

浅尾さんの漁村ビジネスは、牡蠣の養殖だけにとどまらずそれまで地元では商品として考えてこなかった海藻、アカモクを商品化し、ワカメの養殖とともにアカモクの養殖にも取り組みをはじめています。
販路を見つけ、企業と連携し、養殖にかかる経費と売り上げのバランスを考える。育てて売る漁業から、売り先を見つけて育てる漁業への転換は、新しい挑戦を生み続けています。
牡蠣の出荷シーズンが終わる春先からは田んぼや畑で農作物を育て、農閑期の初夏の仕事としてあさり養殖をスタート。浜で育てる一般的なあさりの養殖ではなく、全国的にも珍しい、垂下式養殖であさりを育てるために、あさりの稚貝の新たな採取方法を模索しました。

漁師は一年を通じて働かない。
魚が獲れるシーズンを中心に仕事をし、漁閑期は休む。そんな漁業の常識にとらわれず、計算し、利益を見込むことのできる新しい仕事を生み出す。浅尾さんの挑戦はこれからも続いていきます。漁村で生まれ、育たなかったからこそできるよそものの視点は、養殖の仕事以外でも新しいつながりを生み出しています。

いい漁場が漁獲量に直接つながる漁村の仕事では、漁場の確保は暮らしそのものに関わるんです。だからこそ、自分のノウハウを外に出すことも少ない。でもそれじゃ、良くならないんですよね。みんなでいいものを作る。地域全体で旨いものを育てれば、市場はそこについてくる。だからこそ、仲間が必要なんです。

浦村町の若手漁師と集まり、浦村あさり研究会を発足。あさり養殖のノウハウを共有し、浦村町で水揚されるあさりの絶対量は確実に増えています。
また、アカモクの養殖・商品化のノウハウも積極的に伝え、三重県の新たな海藻としてアカモクのブランド化にも取り組まれています。

家業を継いで漁師になった人でも、新しい生業として養殖業を始めようと考える人が増えてきています。そういった若い漁業者に、牡蠣養殖やワカメ・アカモクの養殖ノウハウを伝える取り組みも始めています。地域全体で、旨い海産物を育てる。それがきっと、漁業の未来につながると思うんです。

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漁業者であり、移住者であり、先駆者である伝道師。
新しい海との関わりが、この漁村からはじまっています。

例年2月に開催される「浦村牡蠣祭り」では、浅尾さんをはじめ、浦村町の牡蠣養殖業者が育てた牡蠣の振る舞いや、即売会が開催されています。今や鳥羽を代表する冬の風物詩ともなった、牡蠣小屋、牡蠣の食べ放題など、12月から2月にかけての鳥羽市浦村町は牡蠣一色。

12月17日から販売開始となる「三重漁村定期便」、初めての出荷となる2月便は、浅尾さんが育てた絶品の浦村牡蠣。
穏やかな生浦湾で大切に育てられた浦村牡蠣を、ぜひご賞味ください。


三重漁村定期便2月号「浦村牡蠣」は、OTONAMIE TERRACE(通販サイト)でも販売しています。
https://otonamie.shop-pro.jp/?pid=111060615


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「漁村のチャレンジを応援!漁師と一緒に旨いを届ける定期便」

「漁村定期便」は、G.league参加漁村の商品を2カ月に1度お届けする定期便。漁村での新たな挑戦に参加する、プロジェクト型オーナー制度の商品が分配される、参加型旨い定期便。

【価 格】21,600円/6回+1回(税込・送料別)
本体21,600円、送料6,000円

きただまさき
きただまさき。OTONAMIE公式レギュラー記者。
漁村の古民家、空き家をめぐる珍住ハンター。尾鷲の地元情報を中心にアップします。
得意ジャンル:グルメ・イベント・お店情報・住宅情報・DIY。
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