ホーム 02【遊びに行く】 【伊賀FCくノ一】野田新監督、3連勝! 伊賀FCくノ一を変えた「自信」と「勇気」

【伊賀FCくノ一】野田新監督、3連勝! 伊賀FCくノ一を変えた「自信」と「勇気」

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伊賀FCくノ一

伊賀FCくノ一は、6月4日なでしこリーグカップの初戦で強豪・INAC神戸と対戦。前半5分の下條彩のゴールを守り切り、1-0で完封勝ちした。
野田朱美監督就任後、3戦3勝。課題だった得点力不足も解消され、伊賀は「常勝チーム」へと劇的に「進化」をとげている。
野田新監督は、いったいどんな“忍法”を使ったのだろうか。

失った自信を取り戻した勝利

伊賀FCくノ一伊賀FCくノ一は、5月11日成績不振を理由に、金鐘達監督を解任。同16日、日本サッカー協会女子委員長を務めた野田朱美新監督の就任を電撃発表した。

2014、15年と2シーズン連続で降格争いに巻き込まれた伊賀。40周年の記念すべき年となる今季は、「3位以内」を目標に掲げて巻き返しを図ったが、前半戦を終えて2勝3分4負で、10チーム中7位に沈んでいた。

特に、得点力不足は深刻だった。9試合でリーグ最少の4得点という現状に、選手からは、「自分たちですら、ゴールの匂いが全くしない」と気弱な発言も聞かれた。

しかし、低迷する成績とは裏腹に、選手やチームに対する評価は決して低くなかった。高倉麻子監督率いる新生なでしこジャパンに選出された杉田亜未をはじめ、那須麻衣子、小川志保などのA代表経験者、U-20代表候補の畑中美友香など、能力の高い選手が多く在籍する。
「これだけメンバーが揃っていて、なぜ勝てないのか分からない」。他チームの選手やメディアからは、そんな声をよく耳にした。

今季より伊賀に加入したDF武田ありさの言葉も、評価の高さを裏付ける。「毎年シーズン終わる頃になると、伊賀の話になって、『行きたいと思っているんだけど…』っていう話をしていた。でも伊賀はレベルが高いと思っていたので、これまではチャレンジする勇気がなかった。今年、やっとチャレンジしました」。

外からの高い評価にも関わらず、伊賀の選手はいつもどこか自信なげだった。結果が出ないことで、実力と自己評価に大きな乖離が生じているように見えた。

伊賀FCくノ一

新指揮官が最初にチームに植え付けたのは「自信」だった。
「(ここ数年)成績は低迷しているかもしれないが、選手個々の能力はとても高い。スピードがある選手、個で打開できる選手が多々いる。チームのために全員が頑張る、“魂こもったプレー”が印象的なチーム。ポテンシャルやチームの団結に、元気や自信、ポゼッションという私の持っているストロングを加えることで飛躍できるのではないか」と就任会見で語り、それを実践していく。

就任後一週間と短い準備で挑んだINAC戦。野田監督に「元気」と「自信」を注入されたくノ一は「魂のこもったプレー」で躍動する。後半14分に中島依美のゴールで先制されるも、後半36分にキャプテン那須のミドルシュートで追いつく。引き分けで終わるかと思われた後半終了間際のロスタイム。杉田が逆転ゴールを決め、劇的な逆転勝利を飾った。伊賀がINACに勝利するのは、2006年以来9年ぶり。最高の船出は、チームの大きな自信につながった。

 

呪縛を解き放った、勇気ある戦術

もうひとつ、新監督が伊賀にもたらしたものがある。
伊賀は伝統的に「守備から入るチーム」だ。今季も前半戦9試合で7失点と、首位の日テレに次いで少ない。キャプテンの那須も「守備に関しては、去年よりはるかに良い」と手応えを感じていた。

しかしその守備への自信は、結果的に伊賀をネガティブスパイラルに陥らせることになる。
守備力に自信がある。一方で得点力に不安があるから、より強固に守備を固める。 → 守備で力尽き、攻撃が単発になる。 → 得点が取れないため、さらに失点を恐れ、守備を固める。

「自分たちがなかなか点を取れないと分かっているから、失点したらいけないという意識が強すぎた」と那須も述懐する。

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この“呪縛”を解くため、野田監督は「勇気を持って、中盤がDFラインに吸収されない(下がらない)こと」を徹底した。「1失点くらいいいじゃないか。そのかわりに点を取ろうよ。ビビるな」と。

「リスクは大きかったと思います。負けたら、こんなこと言えないので」と野田監督は2戦目のコノミヤ高槻戦後、ホッとした表情でそう語った。
「すべて(の課題)をこの短い期間で網羅することはできないので、ひとつずつ潰していこうという中で、今日は攻撃として点を取るというところの自信をつけたかった。あまり守備のことを言うと、これまでと同じように戻ってきてしまうので、そこは我慢をさせた」

伊賀はその賭けに勝った。高槻戦は、先制されながらも3-1で逆転。「5、6点入ってもおかしくない試合だった」と野田監督が悔しがるほど、これまで見られなかった厚みのある攻撃で、何度も決定機を作った。

那須も「いつもは先に1点入れられると苦しいと感じてしまうんですが、今日は『いける』と思っていました。その自信がどっから来たのかは分からないですけどね」とうれしそうに語った。

 

進化する過程を、地域と一緒に

「なでしこリーグは現在、リーグ戦が中断期間に入り、なでしこリーグカップが行われている。10チームを2つのリーグに分け予選リーグを戦い、各グループ上位2チームにより決勝トーナメントへ進出する。伊賀は、日テレ、INAC神戸、ジェフL、コノミヤ高槻と同じグループA。初戦のINAC神戸勝利し、得失点差で現在2位につけている。

今季ホームではお客さんの数が少し少ないかなというのがあるので、進化していく過程の姿を、特に地元の方にはぜひスタジアムに足を運んでいただきたい」と野田監督。
くノ一たちの進化する姿を、ぜひスタジアムで見守ってほしい。

伊賀FCくノ一

 

【今後のスケジュール】
2016プレナスなでしこリーグカップ1部Aグループ
【第2節】伊賀FCくノ一 vs ジェフ千葉レディース
6月12日(日) 13:00K.O. 甲賀市陸上競技場

【第3節】伊賀FCくノ一 vs 日テレベレーザ
6月19日(日) 13:00K.O. 上野運動公園陸上競技場

詳細については、伊賀FCくノ一サイトをご覧ください。
http://www.igafc.jp

 

akubi
akubi。OTONAMIE公式記者。 スポーツライター・カメラマンとして、なでしこリーグの伊賀FCくノ一の取材をしています。三重の皆さん、ぜひ伊賀FCくノ一を応援してください! 得意ジャンル:サッカー(特に女子サッカー)、フットサル、スポーツ  デザイン、アート。

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